2016.07.01遊びが育む多様性【園長のひとり言】
Brexit(ブレキジット)。イギリスが国民投票によってEU(欧州連合)から離脱することになり国際社会で波紋を呼んでいます。それらが今後、どの様な影響を及ぼすかは分からないけれど、改めて多様化する社会のなかで、デジタルに白か黒かで結論を出すことの難しさを感じます。
そして、私たちを取り巻く世界が、これからもっともっと複雑に変化していくのだとしたら、より柔軟な思考や多面的な視点を持つこと。さらに言えば、それら育むことが求められます。
だとすれば、なごみの保育や教育の環境には、一定の合理性を見出すことができる。その理屈はこう。まずココでは、学び、つまり遊びを①機能練習遊び、②構成(構造)遊び、③役割遊び、④ルールのある遊び、⑤描画(工作)、⑥大人からはじめる遊びの6つに体系化しています。
乳幼児期の学びが遊びであることは、これまでも何度もお伝えしてきたので割愛。保育所保育指針や幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領にもそう書いてあるし、ね。
それらの遊びを簡単に解説するとこんな感じ。
①機能練習遊び
いろいろな素材、道具を見て、接合したり、回転させたり、はめたり、ちぎったりと、素材、道具を操作することを繰り返し練習する遊び。
②構成(構造)遊び
積木に代表されるような構築する、つまり子どものつくりたいという欲求からうまれる遊び。
③役割遊び
大人の模倣からはじまり、ままごとやお店屋さんごっこのように役を演じることで成り立つ遊び。
④ルールのある遊び
カードゲームなどルールを守ることによって楽しく遊べる遊び。
⑤描画(工作)
皆さんご承知の通り。
⑥大人からはじめる遊び
絵本、おはなし、わらべうたなど。
で、これらが部屋にバランスよく存在(③④⑤は、発達を考慮し2歳児くらいから)しています。存在しているとは、分かりやすく言えば常に子どもの手の届くところにそれらの玩具があるということです。
だからこの環境においては、必然的に色々な感性をもつ子どもたちが、他者のソレを受け入れながら、主体的に遊びを選択し、また共同していくことになります。コレ、です。この多様な価値観を受け入れながら自分の個性を磨いていく体験こそが、将来の柔軟性を育む鍵なのです。そして、この環境をより豊かにしていくことが私たちの専門性、つまり乳幼児期における教育としての積極性なのです。
あ、ちなみに一般的な幼児教育・保育現場において遊びが体系化されていること自体が珍しく、そもそも子どもたちが何で遊ぶかは保育者によって画一的に決められています。「さあ、皆さんコレをやりましょう」ってね。業界用語で設定保育って言うらしいけど。