2016.11.01イヤの背景 【園長のひとり言】
イヤ。この言葉に頭を悩ませている方は少なくないはず。2歳くらいから5歳くらいまでの子どもが頻繁に使うのだけれど、どこまで許容すれば良いか判断が難しいし、忙しい大人にとってはイライラの原因になりかねません。
だから今回は、このイヤについてのお話。まずコレと上手に付き合っていくためには、反抗期の理解を深めておくと便利です。
思春期までに、おおよそ3回おとずれると言われる反抗期。あ、先に言っておきますが反抗期は健全な成長過程で大なり小なりどの子にもおとずれ、逆にこない方が心配なものです。
で、その第1弾が幼児期の前半からはじまり、それを象徴するのがイヤです。それまで従順だった愛くるしい天使の反乱は、子どもが自分の意思を持ち、そして自分を取り巻く環境について分かり始めたことで起こります。 だから、ただ闇雲に反抗しているわけではなく、いくつかの傾向があります。
まず、よく見られるのが特定の人に対する反抗です。例えば、お母さんや担当の保育者。つまり、向けられている要求に、ではなく要求している人に対して反抗しているのです。それは、愛情や信頼の裏返しのようなものなので、同じことをお母さん以外の人が言うと素直に受け入れたりします。
次に、決まりやルールに対してのものです。外に出るときには靴を履く。ご飯を食べるときの決まった席。寝る前に着るパジャマ等の自分ために定められたしつけの基準や生活の様式に反抗します。それは、自分を取り巻く世界にはルールがあることに気づき始めた表れでもあります。
最後に、自分の決定に反するもの。これは少し分かり難いのですが、例えば、ある行為を「自分でやる」と子どもが決めたとしましょう。この最初の決定に束縛されて、おおよそ自分ではできない状況でも「僕がやる」って聞かない体験したことありませんか?それ、です。
他にもありますが、いずれにしても大人からすれば手が焼ける一方で、子どもの視点に立つと大切な発達の一面が見えてきます。しかも、この育て難さという消極性と発達における積極性は、表裏一体の関係にあり、つまり従順なままで自主性や主体性は育たないから、ややこしい。
でも、安心してください。この時期を超えると子どもは飛躍的に成長します。反抗期とは、そういうもの・・・と頭で分かっていても、なかなか大変だと思います。
だからこそ、お伝えしておきます。子どもの反抗を全て認める必要はないと。大切なのは反抗が成長に必要な行為であり、その時期を過ぎるまで終わらない性質を頭の片隅において、しつけをすることです。台風が、通り過ぎるのを待つかのように、ね。