2017.03.15あともう少し。
なごみこども園で過ごす最後の花見月。その大舞台でやり遂げた音楽や劇という表現は幼児期の着実な育ちを教えてくれます。生まれて間もなきころ泣くことしかできなかった小さな命の目覚ましい変化は温かな愛情に支えられているのだけれど、ご家族と同じくらい想いの深い女性がいます。
もちろん皆さんがよく知っている彼女です。
彼女が、ここで保育者となったのは5年前のこと。少し線が細く穏やかで物静かというのが最初の印象で、どちらかと言えば乳児保育向きに見えました。本人もそれを望んでいましたしね。でも、乳児クラスを2年経験した後、幼児クラスを担当。この春に巣立っていく24名の子どもたちをずっと傍で見守るなかで5歳児を担当したいという気持ちが芽生え自ら志願しました。
この業界において年長児童の担任はあまり好まれません。就学を目前に控えて色々と大変でプレッシャーが大きいからです。おそらく、皆さんが思っている以上に。
それでも、この時代最後の成長を自分の手で支えたいという強い気持ちが勝りました。が、やっぱり待っていたのは悩む日々の連続でした。信頼する先輩からたくさんのアドバイスをもらい同僚からサポートされ、夜遅くまで残って計画を立てたり保育環境を整えたりするのは、いつものこと。
それでも上手くいかない。と、言うよりも納得がいかない。あの子たちはもっとできるはずだし、何よりその成長を信じているから。
少し俯瞰してみれば色々な性格や個性を持った子どもたちが集まっているのだから思い通りにいくはずなどありません。それでも彼女と子どもたちの距離は苦悩した分だけ近づいています。決して100点満点ではないけれど、その思いはしっかりと伝わっていきます。
音楽会で奏でたベルの美しい音色はその証拠。普通なら二人の保育者が前に立って指揮しなければ出来ないくらいハイグレード曲だったけれど、子どもたちの集中力と信頼という目に見えないタクトがそれを可能にしました。
あと少し。あと少しで彼女の努力は実を結びます。残すは最後の大仕事、卒園式。そこでは、きっと様々な感情が交差するはずです。子どもたちへの「ありがとう」と、ともに。