2017.04.01穏やかな日々とその理由 【園長のひとり言】
新しい年度のはじまりに、ここ数年いつも感じることがあります。それはこの日が穏やかだということ。こんなことを言えば職員に「現場は大変です!!」、と怒られそう。
それでも進級によって部屋が変わったり初めての担任だったりと、子どもたちにとって劇的な変化がおきていることを考えれば、やっぱりそう思います。泣き声もあまり聞こえてこないし、ね。他の園の状況を見たことがないので相対的なことは分からないけれど新年度当初はすこぶる落ち着かないという話をよく耳にするので余計にそう感じるのかもしれません。
もちろん、この時期は猛烈に慌ただしく忙しい。ただこれは保育園やこども園の特異性の問題で3月31日まで、ほぼほぼ通常通りの教育及び保育を続け4月1日を迎えるのだから当たり前。卒園式でひと段落つけて立ち止まって準備をしているあっちの業界が羨ましいかぎりです。が、就労支援という社会的に重要な役割を担っているので走りながら考えるしかありません。
この大人の忙しさは、さておき。この時期に個人差あるけれど子どもたちが、特に乳児が安定した状態でいられるかを敢えて立ち止まり考えてみようと思います。そうすると3つの要因が浮かびあがってきます。
ひとつ目は、ほとんどのクラスに昨年度時間を共にした保育者がいるということ。これが、おそらく最も大きな要素で信頼できる人が傍にいることで安心感が広がるのだと思います。
ふたつ目は、環境の連続性。表現は少し難しいけれど、これまでずっと遊んできた玩具や家具や雰囲気が繋がっていて、部屋が変わっても子どもたちにとっての、いつものがそこにあるということです。一般的にこの業界は年度単位で動いているので、この変わり目でガラガラポン、よく言えば心機一転してしまうことが多いのですがココでは連続性を持たせるようにしています。
そして最後に、生活の様式が秩序化されているということ。これも少し分かりにくいかもしれませんが、簡単に言えば大人の育児のやり方が変わらないということです。オムツ交換の仕方やご飯の食べ方、睡眠に至るまで担任が変わっても同じように育児をおこないます。
これら3つ、です。大人からするとあまりピンとこないかもしれませんが、例えば初めていく外国の地を想像してみてください。不安でいっぱいになるはずです。でも、そこに普段から親しんでいるモノがあり、そこの文化や生活様式に関してある程度の知識があったとしたら。そして、そこに信頼できる添乗員さんがいてくれたといたら、おそらく多くの人が積極的に旅をはじめられるはずです。
これと同じ。園が、クラスが、それぞれの保育者が心の安心基地となることで、はじめて子どもたちは主体的に活動をしていけるのです。