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2018.06.01幼児教育の新たな視点【園長のひとり言】

幼児教育のお話。近年、OECD(経済協力開発機構)をはじめとする国際的研究結果(科学的根拠)から、幼児期の教育が子どもの将来に積極的な影響を及ぼすと言われるようになったのは、これまでお伝えした通りです。

 

少しだけおさらいすると、例えばペリー就学前プロジェクト。この研究は、1962年から1967年にミシガン州で、低所得のアフリカ系58世帯の子供を対象に実施。就学前の幼児に対して、毎日2時間半ずつ質の高い集団教育と、週に1度の各家庭訪問を実施したもの。

 

その時研究に協力した子どもたちは今、50歳を超えていて幼児教育を受けた子どもたちは、受けなかった子どもたちと比べて、IQに差はみられなかったけれど学力調査や学歴、収入、持ち家率が高い一方で、特別支援教育の対象者、離婚率、犯罪率が低いことが分かったのです。

 

つまり、貧困環境と子どもの消極的な育ちには強い相関があるけれど幼少期の質の高い教育が、それらネガティブな状況を乗り越えさせるということが分かったのです。ペリー就学前プロジェクト以外にも様々な国際的縦断研究が同じ結果を示しています。

 

ただ正確に理解しておく必要があるのは、ここでいう質の高い教育とは読み書きソロバンのような学力調査や到達度テストなどで数値化される能力(認知能力)を育てることではないということ。いわゆる早期小学校化したものではではなく、精神的健康とか根気強さ、注意深さ、意欲、自信など目に見えない非認知能力と言われる力の育成を質の高い教育だとしていることです。

 

先日、『「学力」の経済学』著者で、慶應義塾大学准教授 中室牧子さんの講演を聞く機会があって、そこでも非知能力の重要性が述べられていました。また、そこで中室先生が話されていた非認知能力に関する最新研究が、とても興味深かったので皆さんにもお伝えしようと思います。

 

それは2010年からシカゴ大学のジョン・リスト教授らによってはじめられた研究で、米シカゴ市郊外の貧困層が多く住むエリアにランダム化比較試験※をおこなう幼稚園「シカゴハイツ幼児センター」を設立。同センターには、毎年抽選で選ばれた3~5歳児約500人が入園し、その全員が米政府の定める貧困ライン以下の家庭の子どもたちなのです。そして、このあたりがアメリカらしいというか日本では絶対にできない研究だと思うのですがクラスを①数字の数え方や書き方、読書、英語などの認知能力を鍛えるクラス、②自主的な遊びや生活や共同活動によって非認知能力を鍛えるクラス、③親に「子育て学校」のコースを受講させた上で、学業成績と素行によって、最大年間7000ドルまでの賞金が授与される保護者を鍛えるクラスの3グループに分類しているのです。

 

そしてこの幼稚園で学んだことが子どもたちにどんな影響を及ぼすのかを生涯にわたって追跡調査。さらにこの3グループとプログラムに参加できなかった子どもたちとを比較し、教育効果を検証するというのです。

 

もちろん、この研究プロジェクトの結果は、まだ出ていません。が、同センターへ最初に入園した子どもたちは今11、12歳になっていて、どうやら②グループが他のグループに比べ学業成績等育ちの積極性がみられているそうです。

 

まだ中間報告なので、これを以て答えは出せないけれど、昔ながらの早期教育に幼児教育の未来を託すよりは、科学を信じた方が良いかと思っています。

 

※研究の対象者をランダムにグループに分け(ランダム化)し、一方には評価しようとしているもの、その他にはそれと異なる内容のもの(従来から行われている教育など)を行うこと

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