2019.05.01無償化の理念【園長のひとり言】
令和という元号のはじまりが新たな時代を予感させる今日この頃。令和元年5月10日、ついにあの法案が参議院本会議において可決、成立しました。幼児期の保育料がタダになるというアレです。
今回の改正により新たに「子育てのための施設等利用給付」というのが創設されて、10月から無償化が実施されることになります。毎年約7700億円の予算を投じて、ね。
これほど多くの税金を使って保育料を無償とするには、もちろん大きな理由があります。
1つは、加速度的に進む少子化問題への対策です。日本の社会で子どもが生まれ難い背景として各家庭の子育てに掛かる経済的負担が多いことが挙げられていて、それを軽減しましょうというもの。
ちなみに厚生労働省によれば現在の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数)は1.43で、2017年に生まれた子どもの数(出生数)は94万6060人と言われております。私が生まれた1974年の出生数が年間200万人を超えていたことを考えると、おおよそ40年間で生まれてくる子どもの数は半分以下になってしまったことになります。また国立社会保障・人口問題研究所よれば今の出生率が改善されなければ、この先40年で、さらに減り年間の出生数は50万人を下回ると予測されています。
さすがに、これはちょっとマズい。特に地方都市にとっては街の存続に関わります。この無償化が少子化問題に積極的な効果を発揮してくれることは祈るばかり、です。
あともう1つ。少子化対策とは別の視点で無償化する大きな理由があります。それは、幼児教育の重要性です。科学や学術、医療が進歩したことで、子どもの育ちに関することが色々と解明されはじめ、どうやら幼児教育がこの時期の発達とその後の人生の経験や生活の質に極めて重要な意味を持つことが分かってきました。国際的な様々な研究の成果がそれらを証明しています。
だから無償化するのです。幼児教育が子どもの育ちに極めて積極的な影響を与えると仮定するならば、各家庭の経済状況に関係なく全ての子どもが公平に質の高い教育を受けられるようにしなければなりません。その為の最初の入り口が保育料をタダすることなのです。
そして今後は、その質が問われるようになっていきます。つまり保育園とか幼稚園とかこども園とか、各園の幼児教育の質が重要になるということです。
もちろん質の高低を簡単にいうことはできません。が、もしも、もしも小学校教育を前倒したような読み書きソロバンを幼児教育だとしておこなっているところがあったとしたら、令和の時代に求められているソレではないとだけ、お伝えしておきます。詳細は、余白の関係でまた今度にします。