2019.07.01幼児教育の新たな枠組み【園長のひとり言】
2020年と言えば、もちろん東京オリンピックですが、もう一つ注目すべきことがあります。スポーツとは全く関係がないし対象が受験生だけなので、話題性は限定的ですが大学入試センター試験が廃止されるらしい。
1990年に始まったマークシート式の試験は「大学入学共通テスト」と名前が変わり、マークシートに加え記述式の問題が採用されるようになります。
それらの改革の背景にあるのは知識の量だけでなく、自ら問題を発見したり、答えを生み出したり。新たな価値を創造していくための資質・能力を育むことの重要性。もちろん、それらの資質や能力が今後、いっそう複雑に多様化する社会で求められるようになるからです。
具体的には、学力の3要素と呼ばれる「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」、です。アレアレ・・・!?勘の良い方なら、なぜ急に大学入試制度のお話をしたかココでお分かりになると思います。
これらの変化が、しっかりと幼児教育から繋がっているのです。以下、平成30年4月1日に改定された保育所保育指針の一説です。
保育所保育指針 第1章総則
4 幼児教育を行う施設として共有すべき事項
(1) 育みたい資質・能力
ア 保育所においては、生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、1の(2)に示す保育の目標を踏まえ、次に掲げる資質・能力を一体的に育むよう努めるものとする。
(ア) 豊かな体験を通じて、感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりする「知識及び技能の基礎」
(イ) 気付いたことや、できるようになったことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりする「思考力、判断力、表現力等の基礎」
(ウ) 心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする「学びに向かう力、人間性等」
イ アに示す資質・能力は、第2章に示すねらい及び内容に基づく保育活動全体によって育むものである。
ね、繋がってるでしょう。それぞれの基礎が幼児期に育つと書かれています。そして大切なのは、それらの資質や能力は、読み書きソロバンの様ないわゆる早期教育ではなく、保育活動全体によって育むものだってことです。保育活動全体とは、毎日の生活とか遊びのなかでという意味です。
ここで分かるのは教育の価値が、社会背景によって変わっていくということ。だからこそ少し戸惑ってしまうのは、教育する側が自身の教育体験にどうしても引っ張られてしまうということです。
それでも、当然のことながら子どもたちのこれから生きる未来は昭和の工業社会(Society 3.0)でも平成の情報社会(Society 4.0)でもない。Society 5.0と呼ばれる、AI・IoTやロボティクスなどの革新的な技術に溢れた超スマート社会であると考えれば過去の教育観に縛られ過ぎていてはならないはずです。