2021.07.01続・電車遊びが好きな訳【園長のひとり言】
先月の続き、です。発達の初期のころ身の回りの特定の要素に対しての強い感受性が働き、そのことで能力が高まっていく時期。1歳半を過ぎたころから秩序に対して敏感になるというお話をしました。例えば、それは電車の形状等のビジュアルよりも、その特性が乳児期の子どもの感情を刺激するってこと。
で、さらに大切なのは秩序という環境の法則を楽しみながら吸収し、それで得られた能力、性向がこの時期を過ぎても定着することです。秩序という表現だと分かり難いかもしれませんが、決まりとかルールとか規則とか、もう少し平たく言えば順番を守ることだって秩序です。
実は、ね。並べたい。積みたい。重ねたい。パズルのように決まった形を決まった場所へ、はめ込みたい等の欲求を満たそうとする行為は、自然と次の段階、例えば基本的生活の自立や豊かな人間関係を築く為に必要な要素を先取りしていたのです。もっと言えば就学後に出会う国語とか算数がそれぞれ文字や数字のルールの学習だと考えればその重要性が鮮明になるかもしれません。ただし4、5歳になると秩序の敏感期を過ぎてしまうので要注意です。
だから、こども園の乳児クラスには色々な種類の積み木やパズル等、子どもたちが秩序付けたくなる玩具がたくさんあるのです。また、それらは既製品のものに限らず、手作りのものも多くあって、その時期に関心の高いテーマと絡めたりもします。詳しい作り方はクラス担任までお問い合わせください。
あ、最後に電車遊びの補足。敏感期とは関係ないけれど、この遊びは女の子よりも男の子の方が興味を示す傾向があるのは想像に難くないと思います。もちろん電車だけでなく、他の乗り物にも関心を持つのだけど、それらにはある共通点があって…人気上位の乗り物をみると、高い公共性を有していることが分かります。消防車や救急車、飛行機からゴミ収集車まで、これら全ては公共の乗り物であり、言い換えれば社会の為に働く乗り物だってことです。社会の為に働く(乗り物)ことに関心を持つ男の子。一方、女の子は、それよりも人形や動物など、生きるとか生き物へ興味を示す傾向があります。まだ言葉をほとんど持たない人生の初期から、興味が分かれるのは不思議なのだけど、必然性を感じるのは私だけでないはずです。