2023.03.01インフレ社会で求められる付加価値【園長のひとり言】
インフレのお話。最近、日用品やサービスの値段(物価)が上がって大変だーとよく耳にします。実際、23年1月の※CPI(消費者物価指数)は4.2%で、上昇率は41年ぶりの高さらしい。この数字は前年同月と比較したもので、つまり全国の家庭が購入している商品やサービスの平均価格が去年の1月と比較して、4.2%上がったってことです。
でも、ちょっと待って。そもそもインフレ社会が本当に到来したとすれば物価上昇は毎年おとずれる訳でインフレ率が4%だということは来年の1月は今年と比較して4%、再来年は8%物価が上昇するってことになります。
さらに10年後は今よりも40%も物価が上がることになるのだけれど、おそらく誰もそんなことは想像していません。ともすれば、今の値上げラッシュを一過性だと思っている人の方が多いかもしれません。
そもそも過去30年に渡ってデフレ社会を生きてきた日本人にとってインフレを感覚的に理解するのは難しいもの。
41年ぶりの高い物価上昇を前にして買い控えるなど節約するけど、物価が上がる前に消費行動を起こそうとしないのは多分、そういうことです。
ただ、もし日本が世界の他の国と同じように本格的なインフレ社会へ突入していたら、すべきことがあります。具体的に言えば物価上昇以上に、賃金をあげること。でもココでは、それらの検討を加速してはくれますが実効性のある政策は期待できません(笑)。
そうだとすれば貧しさに耐えるか労働生産性とか付加価値を高めるなどで自己防衛するしかありません。
インフレの到来かデフレへ逆戻りか。未来は分からないけれど、いずれにしても不確実性の高い社会がおとずれることから、これまで以上に自我というか確かな自分を持つことが求められるはずです。自分の得意を見付けたり、苦手に気付けたり、とね。
そして、自我の萌芽や自分探しが乳幼児期から始まるのだとすれば、この時期の経験の重要度はさらに高まっていくだろうし、さらに言えばそれらを支えるこども園や保育者の専門性向上が不可欠となることを覚悟しなければなりません。
最後に、間もなくおとずれる卒園の日を前にしてひと言。この3年間は本当に難しい日々の連続でした。感染予防が何よりも優先されたことで、子どもたちから様々な機会を奪ったかもしれないって思います。それでもなお、ここで過ごしたいつもの日々は、子どもたちにかけがえのない何かを残してくれたはずだと信じています。
大きな集団はつくれないけれど、マスクを外すことさえできないけれど何かできることはある。あなたのために。あなたたちが幸せでいられるように。もっと、できることがあるはずだと毎日、毎日考えて過ごす保育者の姿が、ずっとそこにあったのだから。
※「CPI(消費者物価指数)とは、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。 すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもので、毎月作成しています。」
総務省統計局のHP参照