2023.09.01新たな仕組みのゆくえ【園長のひとり言】
「異次元の少子化対策」の目玉政策の一つとして、こども誰でも通園制度という仕組みが始まるらしい。これは今まで保育園やこども園を利用する為の就労要件をなくして全ての子育て家庭が通園できるようにするというもの。時間単位等で利用できるようになるみたいです。
主な対象は0~2歳児の約6割を占める未就園児となるのだけれど、確かにニーズはありそうな気がします。加速度的に生き方は多様化しているし、子育て家庭の在り方だってひと昔と全然違うので。
もしかしたら子育てを親任せにしていた昭和時代の感覚のままの人には理解でできないかもしれない。けれど、現に孤立して育児に不安を抱いたり、悩みを抱えていたりする方がいるのは確かで、今の時代に必要な仕組みであることは間違いなさそうです。
例えば子育て家庭に対する公の関わりで考えてみましょう。3か月と6か月で検診があるのだけれど、その次は1歳半と3歳になってから。特に6か月から1歳半の間には独立歩行ができるようになったり、離乳食や普通食がはじまったりと育児(環境)が劇的に変化します。が、この期間に公の関わりは、ほとんどありません。情報に溢れた今の社会であればなおさら分からなくなってしまいそうです。
もし、それら時期の不安や悩みを保育園やこども園と共有したり、一緒に考えたりできたなら子育ての姿は大きく変わるかもしれません。少子化にも積極的な効果があることを願うばかりです。
あ、でもまだこれらの制度の詳細は決まってないから、はじまるのは令和6年度以降のお話、ね。ただ。希望を言えば...この仕組みが本当に機能する為には、「誰でも」に加えて「いつでも」が保障されていること。必要なときに利用できなければ待機児童問題と同じです。
さらに言うと不安を抱える保護者にとって重要なのは、「どこ」へよりも、「誰」に大切な我が子を預けるのかということ。そうだとすれば保育者の顔が見ることや担当者があまり変わらないことが必須になると思います。言い換えれば、それは専任の保育者による連続した関わりの有無が、この制度の効果を高める鍵となりそうってことです。
さて保育士不足が深刻な問題となっているなかで、果たしてそれができるのか。否、できるとかできないではなく、やるしかない。もう少子化に有効な対策ができる時間は残されていないのだから。