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2009.07.01発達の表と裏【園長のひとり言】

 6月のある日の黄昏。年長の男の子が夕方絵本を読む時間に、担任を無理やり廊下に連れ出す。何かと思えば、呼ぶまで部屋に入ってきて欲しくないそうだ。怪訝に思いながらも子どもの言うとおりに廊下で待つ彼女。しばらくして部屋に入ってみると、そこにはきれいに並んで絵本を見るために姿勢を正す子どもたちの姿があった。どうやら彼がクラスのみんなにしっかりと座って並んで待っているよう呼びかけたらしい。
新年度がスタートして以来、誰がというわけではなくふざける姿が目に付いた年長の子どもたち。特に男の子。やんちゃという言葉がぴったりと当てはまる。保育者が手を焼いていたのは言うまでもない。だからこそ、突然彼のとった行動に驚いた。でも、とっても嬉しかった。・・・とある日のできごとを思いつくままに書いてみたのですが、これをほのぼのエピソードで終わらせてしまうのは惜しいので、少し視点を変えて見てみましょう。
まず5歳、6歳という年齢ですが、この時期子どもは自分に関することが、おおむね自分で出来るようになることはもちろん、自分で考えて行動する、ルールを守って生活するなどある程度の自主性や社会性が育ち始めます。当然保育者はそういった育ちを願い、保育します。が、現状は先ほども述べたように年長の子どもが率先してふざけ、それに3歳や4歳の子どもがつられてしまうというあまり好ましくない状況がしばしば起っていました。しかも、そのふざけには特に理由があるわけではなく混乱するばかり。なぜ?しつけや保育技術の問題?・・・いいえ、違います。
もちろん、そういった要素がないわけではありませんが、実は理由なくふざけたり、おどけたりするのは幼児期後半の特徴なのです。どういうことかというと、3歳や4歳、もっと幼い年齢の場合、ふざけるとき大抵そこには興奮してしまうような要因があります。興奮のあまりテンションが上がりすぎてふざけてしまうのです。これは、単純に言うと子どもの気持ちと行動がくっついていることを意味しています。つまり、幼ければ幼いほど子どもは感情のままに行動し、例えば欲しいものは何があっても欲しいのです。
一方、年長の理由なくふざけたり、おどけたりするのは、それと対称的に気持ちと行動が分かれという新たな育ちを示しています。ふざけのような消極的な面だけを見てしまうと何だか発達が後退しているようにも見える気持ちと行動の分化。でもその代わり、「欲しいけど、我慢する」「苦手だけど(嫌だけど)、やってみる」というような自分で自分の行動をコントロールできるようになり始めます。意味もなくふざけたり、おどけたりして保育者を困らせる反面、自主性や社会性の芽生がそこにあるのです。普段、ふざけている姿が気になる彼。でも、時にクラスの中心となって保育者を助けてくれる。この冒頭でお話したエピソードは、どちらも彼の新たな成長のしるしだったのです。
私たちは子どもの行動を見る時、手がかかるのでどうしてもマイナス部分が気になってしまうけれど、その背後には、必ずプラスの育ちがあります。子どもの健全な発達において消極的な面と積極的な面は表裏一体で、どちらか一方という訳にはいきません。ここに子育ての難しさがあります。
でも、大切なことはマイナス部分に気を配りながら、それを0にすることではなく、プラスの面をより豊かに育むことです。『太ってしまうと分かっていても、食べたい気持ちに負けてついついケーキに手が伸びてしまう』大人だって完全に気持ちと行動を分けることはできないのですから。

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