2009.10.05協力>競争【園長のひとり言】
天高く馬肥ゆる秋。今年も運動会シーズンの到来です。綱引き、玉入れ、リレーなど、子どもたちは体を動かすことで自分の体の仕組みを知り、そして自らを豊かに発達させていきます。また、この運動会をきっかけにして運動することがより楽しくなるよう願っています。
それから、もう一つ。運動会のなかでは競技によって勝ち負けを競うものがあります。勝てば嬉しいし、負ければ悔しい。いづれにしても次への活力となりますが、この時期の子どものたちの勝敗は、あまりこだわらなくても良いかと思います。なぜならば、人に負けたくない気持ちや競争心は、今の社会を生き抜くうえで必要な力なのかもしれないけれど、人は大なり小なり生まれながらにして(本能的に)、そういう気持ちを持っているからです。それは、過去の歴史を紐解いて、文明や社会が未成熟であればあるほど、つまり人間が本能に忠実に生きていた時代ほど争いが耐えなかったことを見れば明らかです。それに、幼い子どもほどよく喧嘩をしますよね。
だから、私たちは競技のなかで勝ちたいとか負けたくないという気持ちより、むしろ友だちと一緒にすることが楽しいとか嬉しいという気持ちを育てたいと思っています。協力(協同)という気持ちは競争心より遥かに成熟した社会的な感情です。もし、この気持ちがしっかりと育まれていれば、豊かな人間関係が築けるだけでなく必要なときには競うこともできます。けれども、逆の場合は非常に厄介です。協力的な気持ち以上に育った競争心や優劣感は、誤った価値観に繋がりかねません。大人になって大きな社会のなかで生きるとき、人は独りでは生きられないのですから。