2009.11.05等価値の天才と凡人【園長のひとり言】
先日、エ☆カの鏡という番組で横☆式教育と脳科学おばあちゃんを見て思わず絶句。おばあちゃんは、言われていることが脳科学というより経験に基づく感覚論なのでコメントは控えるとして、気になるのは前者のほう。保育内容が各保育園にある程度委ねられているとはいえ、あれだけ専門性と想像性に乏しい保育を堂々と影響力の強いメディアで露出するのはいかがなものかと思います。しかも、人(子ども)の価値を決めつけているあたりが、これまた・・・。あたかも天才が人として価値が高いかのように。ただ、あれだけ極端だと誤りに気がつく方も多いと思いますが、あれらをどんなに実践したとしても天才になることはありません。
けれども、残念なことにあのような内容がメディアで話題にされるということは日本の保育や幼児教育を含む子育てが少なからずそのような傾向にあるということです。幼いうちから目に見えて出来ることを増やすことが、あたかもその子の才能を豊かにするような風潮です。世界学力調査で1位のフィンランドの人が見たらビックリするでしょう。
もちろん、子どもは成長するたび出来ることが増え、また知識欲も旺盛になります。ただ、それは豊かに発達を積み重ねた結果で、目的ではありません。乳幼児期は学童期の予備校ではないのですから。大切なことは、大人の価値観を押し付けることではなく、その価値観つまり自分を取り巻く世界やそのしくみについて知りたい、関りたいと思う気持ちを育むこと。そして、その意欲は自分の意志で環境に働きかける豊かな経験や遊びのなかでこそ生まれてくるのです。しかも、学業が始まる前に。
おまけ・・・最近話題の早期教育をテーマにしたミステリー小説『金のゆりかご(北川歩実)』は面白いですよ。