2024.07.01新たな子育て支援の仕組み【園長のひとり言】
こども誰でも通園制度。令和8年度から本格的にスタートする仕組みだけれど今、着々と準備が進められています。浜松市でもこの7月から本格実施を見据えた試行的事業がはじまりました。もちろん、ココでも実施中。
この制度を簡単に説明すると生後6か月~満3歳で未就園の子どもが月10時間まで保育園やこども園等に通うことができるというもの。つまり今後は保護者が働いていなくても時間単位等で柔軟に保育サービスが使えるようになるのです。
ただそう聞くと、もしかしたら同じような仕組みが既にあるじゃないか、と思う方がいるかもしれません。
確かにあります。外形的にも内容(機能)面でも今ある(一般型)一時預かり事業とほぼほぼ一緒。保育園やこども園には、これまでも保護者の就労要件なく、一時的にお子さんを預かる機能を有していたのです。
では、なぜ今になってこども誰でも通園制度を新設する必要があるのでしょうか。結論からかと言えば従来の一時預かりと主要な目的が違うから、です。
ここが重要なところというか、ここでしか区別できないのだけれど一時預かりが、例えば通院だとか冠婚葬祭、リフレッシュなど保護者の事情によって子どもを預かる事業である一方で、こども誰でも通園制度は子どもの健全な成長という視点で保育園やこども園は有益な環境だから月に一定時間通えるようにしましょう、というものなのです。
以下こども家庭庁が昨年末に示したこども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会における中間取りまとめ(案)からの抜粋です。
2.こどもの成長の観点からの意義
〇 こどもを中心に考え、こどもの成長の観点から、こども誰でも通園制度には以下のような意義がある。
・在宅で子育てをする世帯のこどもも、こどもの育ちに適した人的・物的・空間的環境の中で、家庭とは異なる経験や、地域に初めて出て行って家族以外の人と関わる機会が得られること
・こどもに対する関わりや遊びなどについて専門的な理解を持つ人がいる場で、同じ年頃のこども達が触れ合いながら、家庭にいるだけでは得られない様々な経験を通じて、ものや人への興味が広がり、成長していくことができること
・こどもにとっては、年齢の近いこどもとの関わりは、社会情緒的な発達への効果的な影響など成長発達に資する豊かな経験をもたらすこと
・こどもに対する関わりや遊びなどについて専門的な理解を持つ人からこどもの良いところや育っているところを伝えられる、こどものよさを共感してもらう、保護者自身やこどもへの温かいことばや応援の声をかけられるなど、保護者が「家族以外の人が自分たちを気にかけている」と実感できることは、こどもへの接し方が変わるきっかけとなったり、こどもについて新たな気づきを得たり、こどもの出来ていることを伝えてくれることで自信を回復することにもつながり、こどもの育ちや保護者とこどもの関係性にも良い効果があること
〇 こうしたことを踏まえると、こども誰でも通園制度は、保護者のために「預かる」というサービスなのではなく、保護者とともにこどもの育ちを支えていくための制度であることを確認しておく必要がある。
と、言う訳です。
0~2歳児の約6割を占める未就園の子どもたち。今、少子化をはじめとする社会変容で本来、できるはずの経験や体験機会が失われつつあります。もし、それらを保育園やこども園が補完できたなら、子どもたちにとって真に良質な生育機会を提供できたのなら、こども誰でも通園制度は未来へ向けて意義あるものとなるかもしれません。