2024.11.01OHASHI②【園長のひとり言】
それでは先月のクイズの答えです。乳幼児期、0歳~6歳の間でおおよそ何歳くらいからお箸や鉛筆を持ちはじめると正しく使えるようになるでしょうか、という問題。
正解は、おおよそ6歳です。なぜか。発達の原理に着目することで答えを導くことができます。原理とは皆に共通するという意味。ここから少し難しい話をするけど着いてきてください。
では、いきます。発達には原理原則があって、その一つに方向性というのがあります。これは発達が一定の方向に向かっていくというもので例えば、頭部から尾部(脚)へ向かって、つまり身体は上から下に発達していくという原理のことを言います。
もう少し分かりやすく解説します。赤ちゃんが、よく身の回りにある物を口にいれます。これは手指よりも頭の方、顔や口、そして舌が発達しているので、舌ベロを使って物と対話しているのです。だから、物を口に入れないように教えても意味なくて、大切なことは口に入れても安全で衛生的な玩具を用意すること。手指が発達すれば自然と物を口に入れなくなるのだから。
その他にも内側(ナイソク)から外側(ガイソク)という方向性があって、身体の中心(心臓)から外側(抹消)へ向かって発達していくという特徴があります。
コレ、です。コレがお箸や鉛筆を正しく持つためのヒントで、手や指も内側から外側へ向かって育っていきます。で、内側がどの指かと言えば小指です。小指から薬指、中指、人差し指、親指という方向で上手に使える(機能分化)ようになっていきます。赤ちゃんが初めてスプーンを持つとき逆さに握りをするのは親指よりも小指が発達しているからだったのです。
そして、結論。お箸を正しく使えるようになる極意は後半で発達する親指、人差し指、中指の機能分化を待つ必要があり、その時期が個人差はあるけど6歳くらいなのです。もしも、これらの成熟前に使いは始めてしまうと...その時に最も発達した指を使っちゃうから、誤った持ち方となるってわけです。更に厄介なのは、一度変な持ち方の癖がついてしまうと、なかなか直せないってこと。
だから、正しい時期に正しい持ち方でお箸を持ち始めることを強く、強くお勧めするのです。ただ、5本の指が巧みに使えているかの見極めは意外と難しい。見た目では分かりません。
そこで登場するのが「あやとり」です。あやとりは、5本の指の全てを巧みに動かす遊びなので、その見極めにすごく役立ちます。しかも、楽しみながら指をたくさん動かすから、さらなる発達へと繋がっていきます。ぜひご家庭でもこの伝統的な遊びをお子さんと一緒に楽しんでみてください。