2010.05.01ちょっとだけ政治の話【園長のひとり言】
いよいよ中学校卒業までのすべての子どもに月額26,000円(初年度半額)を支給する子ども手当の申請がスタートしました。初年度にかかる費用は、2.2兆円。税収が落ち込みを見せるなか、全額国費とはいきませんでした(地方、事業主も今までの児童手当分をそれぞれ負担)が、どうにかこうにか財源を確保したかたちとなりました。
けれど、公約通りならば来年度からは26,000円が支給され、それにともなう費用は倍以上の5.3兆円が必要となり、継続的安定財源を確保するためには無駄削減や扶養控除、配偶者控除を廃止したくらいでは、全く追いつきませんし、打ち出の小槌でもないかぎり、制度としてなくなったはずの児童手当の地方や事業主負担分もそのまま子ども手当に充てられること必至です。だから、当然またもめます。児童手当がなくなったことで地方が自由に使えると思っていたはずのお金が、10年度限りの暫定措置という力技で持っていかれてしまったのですから。
はたしてどのような決着を見ることになるのでしょうか。その答えは参院選後・・・?では困ります。社会保障や安全保障は国家の根底をなすものであり、政権しだいでコロコロと変るべきものではありません。
もはや日本社会の存続をも脅かしかねないほど少子化は深刻な状況にあるなかで国だの地方だのと限られた予算を取り合いしているときではないのです。政策は目的ではなく、あくまでもそれを達成するための手段に過ぎず、まして、選挙のためのものであってはなりません。
「社会全体で子どもを育てる」とは、より豊かな社会を創っていくために掲げた理念だったはずです。(高速)道路も大切ですが、20年後、30年後に振り返って、あの時もっと子育て政策をしっかりやっていれば・・・と後悔しないためにも、子どもや子育てに対する財政出動は、健全なる未来への投資であるという将来を見据えた視点こそが、今、必要なのだと思います。もちろん、私たちひとり一人の意識として。