2010.06.01木を見て、森を見る【園長のひとり言】
日本の安全保障が迷走しています。いわゆる普天間飛行場の移設問題。否定の否定は肯定ということで、5月28日、沖縄・名護市辺野古周辺のほぼ現行案通りで閣議決定となりました。一旦は沖縄に向けた軸足をアメリカに戻したかたちで5月末決着。沖縄の人たちは大反対。当然です。沖縄の人にとってはイデオロギーの問題ではなく、日々の生活の安全がかかっているのですから。そして、署名に応じない福島瑞穂消費者・少子化担当相は罷免。社民党は連立離脱へ。
これでは、安全保障だけでなく、6月に具体的な方針を示すとしていた子ども・子育てビジョン(幼保一体化など子ども・子育てに関する新たな社会システム構築を目指すもの)にも少なからず影響がでそう。やれやれ、です。
沖縄、アメリカ、環境、そして選挙とそれぞれに良い顔をした為に招いてしまったハトさん一座の悲劇。部分の最適を追い求めても必ずしも全体の最適とはならないということの証です。
「部分最適」と「全体最適」とは、経済(経営)学で使われることばで、部分最適が各部分機能の最適を図ることに対して、全体最適とはシステム・組織の全体の最適を図るというもの。
今回の件を分かりやすく私たちの生活で例えると、健康のため、規則正しい生活や栄養価の高い食事、適度な運動にこだわり過ぎて逆にストレスが溜まって病気になってしまったみたいなものでしょうか。たまには、夜更かしやドカ食い、息抜きのようなことも生活を楽しむという面では必要なことなのです。そればかりでは、当然ダメなのですが。
大切なことは「木を見て、森を見ず」でも「森を見て、木を見ず」でもなく、部分最適と全体最適のバランス。さらには、そこに時間の軸を乗っけて考えてみること。今は、困難なことであっても、またムダなようにみえることであっても将来的に大きなプラスを生むことがあるのですから。
長引く不況で国も地方も財政難に嘆く今だからこそ未来を見据えながら、「木も見て、森も見る」。そんな感覚が問われているのかもしれません。もちろん、待ったなしと言われている少子化問題、子ども・子育て政策なら尚更です。