2012.09.03食育のエッセンス【園長のひとり言】
突然だけれど、食育ってなんだろう。簡単で便利が大きな経済効果を生み、ファストフード店が24時間営業している時代だから余計に、そう思ってしまいます。先日会った管理栄養士さんが仕事でサプリを積極的に売らなければならないことに苦悩していた姿が、それを象徴している気がします。もっとも、食が大切にされている時代には、食育なんて言う必要がなかっただろうけど。環境保護と同じ。
でも、きっとこの流れは、これからも続きます。経済原理の名のもとに食の価値をどんどん多様化させていきながら、その一方で食の大切さを説くという矛盾が、ね。
だからこそ、こだわらなければならないかもしれません。食育に。だとすれば、その目的は、未来に向けて子どもたちの食の選択肢を豊かに育むこと。ご家族をはじめ周りの大人から大切に守られた時代を卒業したその時に、溢れた食の中から「自分にとって正しい食を選ぶことができる」を願って、です。つまり、それは体調やウェイトに合わせて食を選んだり、より健康的な体を目指して栄養の偏りを避けたりという選択を自身で出来ることを意味しています。
なごみ保育園のお昼ご飯に、ハンバーグやパスタのような、ご家庭の定番メニューがあまり登場しないのは、そういうことで、味覚が未成熟な乳幼児期の子どもたちにさまざまな食の体験をして欲しいから。
栄養のバランスはもちろん彩や旬の食材に創意を重ねて毎日の「美味しい」を、ともに。
この繰り返しが、すこやかに今を生きる源となり、その未来に大きな意味をもちます。人はいつの日か育てられる側から育てる側へ。そのとき、手渡されていくもの。それが幼き頃から、ずっと丁寧に育まれた、より豊かに生きるためのエッセンスなのです。