2012.10.01言葉の紡ぎかた 【園長のひとり言】
言葉の紡ぎかた。先日のお父さんサークルのお題が、これ。子どもの言葉を考えるとき、その周りにある言語環境の豊かさに焦点をあてるのは、意外と大切です。ワークブックをさせるより、ずっとね。
ただ、大人になると自身の言葉や文章を省みる機会が少なくなってしまうもの。だから、今回は新聞記者さんに新聞の仕組やその記事を通して、言葉の表現について色々と手ほどきしてもらいました。
で、改めて思うのは話し言葉と書き言葉の間にある溝と、それを埋めることの難しさ。この点では、子どもたちと同じかもしれません。そう。大人にとっても子どもにとっても話すと書くでは、似て非なり。だから、子どもが五十音や単語をマスターしたら、なんとなく上手に書けそうな気がしてしまうけど、ズバリ気のせいです。
その決定的な違いは、書き言葉には、話し言葉にある「音」と「特定の対象」という2つの具体性がないことです。これが書く、を格段にグレードアップさせているのです。単純に言えば、書くというのは、頭のなかで誰に向けて、という対象をイメージしながら、無音のまま単語を展開させ、そして、それらを保存し出力することです。
だから、難しい。文章表現が得意だという人にあまり出会うことがないくらいに、です。それでもやっぱり子どもたちには、書き言葉に関心をもって欲しい。年長児童には、特にこれからの時期そう願います。豊かな言語環境に支えられて始まる話し言葉の育ちが、日常の会話だけでなく、自分の思いや体験を整理して人に伝えられるというところまで到達できたなら、文字の習得を始めてもいい頃です。まずは、その興味関心を自然なかたちで喚起するところから。
そして、目安としては卒園するまでに自分の名前をひらがなで書けて読めれば問題ありません。ただし、焦りは禁物。大切なのは、その順番。話し言葉の成熟を待たずして、始めた早すぎる文字の習得や記号の暗記は、言葉を使って考えること、つまり想像力を鈍らせてしまうのでご注意を。
※ちなみに、私はこの文章を完成させるまでに1時間以上要しています・・・orz。