2013.04.01定性的な目標 2013-14season 【園長のひとり言】
桜月の胸をふるわせる旅立ちに、もう少し浸っていたい気もしますが新たな成長を紡いでいかなければなりません。
そして今シーズンに掲げる目標は、ズバリ保育の専門性と質の向上、です。前者は体系化された学問に基づく実践なので分かりやすいのですが、後者はちょっと難しい。だって、それをはかるスケールがないのだから。
これが保育を多様化させている一番の原因で、極端な例は除くとしても、子育てという情緒的世界では国の機関でさえ評価の基準を持っていないのが現状なのです。例えば、同じ保育園でも、レクサスが買えるくらい室内環境を充実させているところがある一方で軽自動車のところもあります。ちなみに、うちはLSのほう。ただ、どちらが良質かは見方しだいで、その価値が分かれてしまいます。
でも、です。最近その物差しが個人的に、分かってきた気がします。ただ、これはプライベートな枠組みなので他園には当てはまらないかもしれませんが、なごみStyleということでお願いします。
そのポイントは3つ。ポイント1。これは主に乳児(0歳から2歳)に関係しますが、生理的リズムに合わせた適切な保育時間が設定されているかということ。ご家庭では、一対一ですることが多い育児ですが保育園にはいろいろな生活リズムの乳児が混在しています。例えば、それは起床や朝食の時間がそれぞれ違うってこと、ね。一人ひとりの、それを適切にフォローしていくためには綿密な計画や連携が不可欠となります。
ポイント2は、子どもの、主体的な行為や行動の頻度に注目です。主体的、つまり何を、どのように、いつ、誰とするのかというような自分の意志や思いでどのくらい一日を過ごせているかということ。もちろん、大人の指示や命令なしでルールや約束を守りながら、です。その為には、それぞれの発達や興味関心に合った遊びや子どもたちが先を見通せる秩序ある生活への充分な配慮が必要です。
それから、ちょっと分かりにくいポイント3。これは、子どもが自身の成熟を待たずして、発達を成し遂げられるような環境をどのくらい創れるかということ。例えば、こんな感じ。病院ごっこがしたくなるような環境を用意することで2歳の子どもたちが、それを楽しんでいたとします。そこで、目にするのは自らの意志によって待合席で文字通り診察の順番を待つ姿。ココに、注目します。もちろん病院なのだから、順番を待つのはあたり前。私たち大人なら、ね。でも、その行為が2歳児の生活において可能かどうかイメージしてください。自己中心的が特性のこの時期に、です。何でも、「自分が」でないと気がすまない子どもたちが、大人の介入なしで他者よりも後で、を進んで了承しているのです。
言うまでもなく順番を待つという行為はいずれ独力で、できるようになります。が、この瞬間、病院ごっこという環境がなかったとしたら、どうだったでしょう。これは、遊びが子どもの生活年齢を持ち上げていることを意味しています。私が実際に見たときも、この「ひとりでは、できない」、けれど「他者や環境の力をかりて、できる」へ働きかけることによって、4人の子どもたちが待つという時間を楽しそうに過ごしていました。
と、そろそろ余白がなくなってきたので、ここまでにしておきます。これら3つの視点へのこだわりが、良質な保育と何より子どもたちのより豊かな育ちを約束してくれると信じて。