2013.08.01異なる教育の目標 【園長のひとり言】
幼児期の教育について。これは、なごみの、というより保育園が有している機能のお話。ただ幼稚園側からすれば、私たちこそが幼児の教育専門機関であり、保育園はそうではないらしい。それを聞いて憤慨する保育関係者もいますが、その主張は一面的には正しい。
だって、日本でいう教育とは、学校教育のことであり、それを規定している学校教育法の第一章第一条に「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。」と明記されているのだから。つまり、幼稚園が我が国で唯一の幼児期における学校教育機関だってこと。法律的には、ね。ちなみに、保育園の根拠法令は児童福祉法です。
ただ、教育の内容ということになれば、少し話しが変わってきます。保育所保育指針と幼稚園教育要領という保育や教育のもとになる法的拘束力を持つガイドラインは一言一句違わず一緒だし、そもそも学校教育法第22条には、こう書かれています。「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。」って。またその一方、児童福祉法の35条には「保育所における保育は、養護及び教育を一体的に行うことをその特性とし、その内容については、厚生労働大臣が定める指針に従う。」と記され、どちらにも保育と教育という言葉が混在しているのです。
とどのつまり、保育園と幼稚園の教育的な差異はその内容、ではなく根拠法令と各法人の理念のなかにある訳です。しかも、先にあげた両ガイドラインは、大づかみ(大綱的)なもので、小学校で使われている学習指導要領のような具体的にその方法を示したものがありません。だ・か・ら、各園によって大きな違いが生まれるのです。早期教育バリバリだったり遊び中心だったり、とね。
しかし、です。保育園でも幼稚園でも、何をもって教育とするかは、前述した通り細かく法律で定められていないので、その中身は自由だけど、少なくとも小学校教育とは明確に区別すべきです。それは幼児期に必要なエッセンスが、義務教育の前倒しではないってこと。だって、6歳からはじまる基礎学習の、基礎なのだから同じであるはずがありません。
そもそも教育のねらいや目標が違います。学童期が「~できるようにする」といった目標への到達度を重視(到達目標)しているのに対し、幼児期は「~味わう」とか「感じる」などの方向づけを重視(方向目標)します。これは私ではなく文部科学省が、そう言っています。
だから、当然それにともなって教育課程や方法も異なるのです。が、教育(保育)現場の主流は学校の予備校的なソレ。湯川先生風に言えば「実に、非論理的だ」・・・です。
詳しくは下記の対比表を参照して頂きたいのですが、「総合(構造)的な働きかけ」とか「環境を通して」ということの意味を、その教育の本質を、もう少し社会化しておく必要がありそうです。新たな幼保連携型認定こども園へ変わる前に。