2013.10.01保育園の算数 【園長のひとり言】
勉学の秋ということで、数の教育について。小学校では算数、それ以降には数学とよばれているもの。個人的に数学はとても苦手だけれど、好きな人に言わせると、どんなに難しい問題でも必ず正解があって、 その答えは、曖昧だったり似ていたりせず明確に1つしかないということが気持ち良いらしい。
もっとも、学問までいかなくとも私たちの生活には少なからず数字が必要となるから、分からないより、分かった方が当然いい。そして、その学びの始まりは、おそらくこの時期にあります。そう、乳幼児期から。
だから、なごみ保育園的な算数についてお話しておこうと思います。と、言っても小学校の予備校みたいなことはしていません。
一面的には、もう少し高度かも。だって、子どもたちに求めているのは整数のみならず序数を含め、その概念を身につけることだから。
子どもたちが数を獲得することの本質は、一つ、二つと数えられることではありません。それは、1の意味が分かるということであり、3番目が分かるということです。または、たくさんの中から5つを選べたり、3つより4つの方が多いということを知っていたりすることを示しています。1から100までの記号を覚えるだけでは、ダメです。
ただ学童期と違うのは、この時期の学習がワークブックのような教材ではなく、あそびや生活のなかで深まっていくということ。で、子どもたちが頭のなかに、それぞれの数の枠組みをつくっていく手伝いをするのが保育者という訳です。様々な数に触れられる豊かな環境を用意して、ね。
でも、闇雲にたくさんの数を理解する必要ありません。大切なのは、しっかりと深く一つ一つの数を身につけていくことです。
目安としては、年齢マイナス1くらい。つまり5歳だったら4まで。4歳だったら3までという具合に、です。もちろん、より感覚的に生きている乳児期(0歳~2歳)の子どもたちにとっては少し先のことだけど、色々な数との出会いはすでに始まっています。
近い将来。世界で最も美しいと称されるオイラーの等式 にうっとりするかは分からないけれど、豊かな体験に支えられて学ぶ算数は記号の暗記にとどまらず、数のイメージをより確かなものにしてくれるはずです。
※ちなみにオイラーの等式とは、小川洋子『博士の愛した数式』で目にしただけなので文系の私にはさっぱりですが、スイスの数学者レオンハルト・オイラーによって発見され、数学において、最も重要な定数の1つであるネイピア数e(2.71828…)と、円周率π(3.14156…)、さらに虚数単位i(√-1)と最も基本的な数0と1が組み合わされ、見事に調和している式、らしいですよ。