2013.11.05不思議な普遍性 【園長のひとり言】
少し不思議なお話。保育園には、あたり前だけど、たくさんの子どもたちがいて、その数だけ興味や関心が存在します。ただ、その一方で年齢や性別によって多くの子どもたちが同じように心惹かれることもあります。
たとえば、1歳半を過ぎ歩けるようになって言葉を獲得したくらいから、多くの男の子が公共の乗り物に夢中になるということ。バスや消防車、救急車、パトロールカー、電車、飛行機などなど、ね。
このこと自体は、皆さんも知っていることでしょうし、全く新しい発見でもありません。でも、まさにそこが不思議なのです。だって、そうでしょう。小さな男の子の「乗り物好き」が一般的なことだとするならば、時代や世代を問わず、そういう傾向にあるということだから。もちろん、なごみ保育園の1歳児クラスでもBRIOレールセット(木製の汽車)が絶賛稼働中、です。
ね、ミステリアスでしょう。ん、まだその感じが伝わっていない方は、「公共の乗り物」の「公共」に注目してみて下さい。公共の、つまりバスや消防車は社会のために働く乗り物だということです。男の子と働く車。その関係だけ見ていると少し分かり難いのですが、異性のそれと比べると、はっきりします。
この頃の女の子が心を奪われるものは、そう、動物や人(人形)です。女の子は汽車や飛行機よりも生きもの(生きるということ)に強い関心を抱く傾向があります。
大づかみな言い方をすれば、男の子と女の子で「働く」と「生きる」という風に興味が分かれるのです。自我が芽生える前の言語も社会性も未成熟な段階から、です。「生きる」は、生かすや育むと言い換えた方が分かりやすいかもしれません。
ね、ね、ミステリアスでしょう。男女共同参画という現代の社会的な価値観はおいといて、それは、おそらく大人になってからの男女の本性的な役割の違いに他なりません。
そして、「働くこと」と「生きること」は、間違いなく私たち大人にとって大切な資質です。その根っこが、子どもの遊びのなかにあるのだとしたら、その豊かな経験は充分に価値あるものとなるはず。20年先の未来へ向けて。